持ち家は負債だ


「金持ち父さん貧乏父さん」で知られるロバート・キヨサキさんの言葉です。


ロバート・キヨサキさんが言うように、資産とは自分のポケットにお金を入れてくれるもの、負債とは自分のポケットからお金を奪っていくものということになります。


マイホームとして、ローンを組んで買った家に住んでしまったら、それは家を消費している状態になります。


毎月、住宅ローンの返済でポケットからお金を取られていくことになります。


この状態が何十年と続くのです。


しかも、そのローンを支払う原資が、雇われて働くことで得られる給与所得しかないというのは、あまりにもリスクが高い。


30年後も、ローンの支払い者が、労働市場において高収入を維持している可能性は低い。


もちろん、子どもがいれば、その子供にもローンを払ってもらうとか、そういう手だてはあると思います。


老後は、住宅ローンの残債を子供に払ってもらい、介護も担ってもらおう


これが実現すれば、親にとっては望ましい家族の在り方だといえるかもしれません。


ですが、現実は甘くはありません。子供にしたっていろいろ事情を抱えて大人になります。親に対してどういう立居ふるまいをするか、できるか、実はこれすらもわからないことなのです。


もし、住宅ローンや介護の負担をさせるために子供をつくろうか考えている人が居たら、それは無意味ですよとアドバイスしてあげてください。それだけのことです。


一つ言えることは、多くの日本人は持ち家志向が非常に強いということです。


これは、働き盛りの人にだけ当てはまることではなく、高齢者にも当てはまります。


東日本大震災で持ち家を失った高齢者が、避難所暮らしを早く終えて、また新たに住宅を購入しようとしているテレビの取材番組を見たことがあります。


高齢者であるにもかかわらず、住宅ローンが組めるということ自体すごいことですが、80歳近くになって新たに家を買う必要があるのか?
私は理解に苦しみました。


高齢期になると、当然に要介護のリスクだって高まります。


もしかしたら、自宅での暮らしが難しくなったり、老人ホームに入居する事態も容易に想定できるわけです。


なのにやっぱり、持ち家にこだわるのです。


ローンで生活がカツカツになっても、やっぱり自分の持ち家が欲しい、賃貸なんてみっともない、そう思うのが日本人の多数派なのかなと感じました。


つまり、これは価値観の問題です。


他人がとやかく言うことではないのかもしれません。


人間は、合理的に行動しているかといえば、まったくそんなことはない、極めて感情的な生物です。


感情がノーと言ったら、もはやその道を選ぶことは困難になります。自分を支配している感情をに対して否定しなければならないからです。先の震災で家を失った高齢者の場合も、感情が大きく関係していることでしょう。


だから、未だに持家は資産だと信じて疑わない人がいるのです。


確かに、持家が資産になるケースはあります。


例えば、土地付き一戸建て住宅で、その土地の値段が上がった場合です。


建物は時間の経過とともに劣化しますが、土地は残ります。


長年住んで古ぼけた住宅は撤去し、残った土地に駐車場をつくって収益を得るとかすれば、確かにプラスになることもあります。


土地の値段が下がらなければという条件が付きますが・・・・


でも、難しいのがマンションです。


マンションは土地が残るわけではありませんし、リフォームや修繕をしたとしても50年後は住めるのかすらわかりません。


それでも子供に資産として残せるといえるでしょうか?


もう一度整理しますと、資産というのは、あなたのポケットにお金を入れてくれるものです。


持家に住むだけでは負債ですが、賃貸に出して収益を得られれば、資産になります。


また、持家として住む場合でも、格安の優良物件を一括で支払って購入する場合は、賃貸住宅に住むよりもコストが安くなることがあります。地方の築年数の古い物件であれば、リフォーム代込みで考えても安い。


一概に持家がダメだといっているわけではありません。


でも、そうした例外を除けば、大概の場合「持ち家は負債」なのです。


ちなみに、賃貸住宅に家賃を払い続けるのは負債ではないのか?というと、もちろん負債です。


しかし、賃貸はライフスタイルや仕事、家族形態の変化に合わせて住み替えることが容易ですから、割安で住居というライフラインを消費することができます。


また、この前の台風のように家の屋根が吹き飛ばされたり、川に流されても自分の資産ではないので経済的な打撃リスクが少ないという点もメリットです。